フェイクニュースの温床!?ハゲタカジャーナルの危険性

近年、インターネットやソーシャルメディアの普及により、情報発信が容易になりました。
誰でも手軽に情報を発信できるようになった一方で、情報の真偽を確かめることが難しくなり、フェイクニュースが広まりやすくなっています。
それは各種SNSに限られたことではありません。
学術論文を発表する場として、近年ハゲタカジャーナルの存在が問題となっています。
正しく情報収集しようとして、科学的根拠(エビデンス)が重要ですが、ハゲタカジャーナルを根拠にすると自らがフェイクニュースの発信源となりかねません。
今回は、ハゲタカジャーナルの特徴やその悪影響、そして回避方法について解説していきます。

ハゲタカジャーナルとは?

ハゲタカジャーナル (predatory journal) とは、論文掲載料を徴収するだけで、査読の質が悪く編集を行わない学術雑誌のことです。

従来の学術雑誌は、購読料によって運営されていました。しかし、近年増加しているオープンアクセスジャーナルでは、著者が論文掲載料を支払うことで、誰でも無料で論文を閲覧できるようになっています。

ハゲタカジャーナルは、このオープンアクセスジャーナルの仕組みを悪用し、掲載料収入のみを目的としています。

ハゲタカジャーナルの特徴

ハゲタカジャーナルには、以下のような特徴があります。

  • 執拗な勧誘:メールなどで執拗に論文投稿を勧誘してくる。
  • 不審なウェブサイト: ウェブサイトのデザインが粗雑であったり、誤字脱字が多い。
  • 出版社情報の欠如: 出版社の所在地や連絡先が不明瞭。
  • 専門外の編集委員: 編集委員に専門外の研究者が名を連ねている。
  • 不明瞭な査読: 査読プロセスが不明瞭、または査読が実際に行われていない。
  • 高額な掲載料: 他のジャーナルに比べて高額な掲載料を請求する。
  • 短期間での掲載: 査読をせずに短期間で論文を掲載する。

ハゲタカジャーナルが悪い理由

ハゲタカジャーナルに論文を掲載すると、以下のような悪影響があります。

  • 研究の信頼性低下: 質の低い論文が掲載されることで、研究全体の信頼性が低下する。
  • 研究者の評価低下: ハゲタカジャーナルに論文を掲載した研究者は、評価が低下する可能性がある。
  • 経済的損失: 高額な掲載料を支払っても、論文の質が保証されないため、経済的な損失を被る。
  • 学術界の混乱: 信頼性の低い情報が拡散することで、学術界に混乱が生じる。

ハゲタカジャーナルが紛れ込む理由

PubMedなどの論文検索サイトにも、ハゲタカジャーナルが紛れ込むことがあります。
PubMedは、米国国立医学図書館(NLM)が運営する医学文献データベースで、生命科学や生物医学分野の膨大な数のジャーナルを網羅しており、理解した上で使用すれば優れた論文を見つけることができます。
私も主にこのPubMedを利用しています。

PubMedにハゲタカジャーナルが紛れ込む理由としては、PubMedの目的が、網羅的に学術情報を収集することであるためです。
そのため、ジャーナルの質を厳密に評価することはしていないようです。
ただし、PubMedはハゲタカジャーナルを特定するためのツールやリソースを提供しています。

PubMedを利用する際には、ジャーナルの質を自分で評価することが重要です。
ジャーナルの評判、査読プロセス、インパクトファクターなどを調べることで、ハゲタカジャーナルを避けることができます。

ハゲタカジャーナルを避ける方法

ハゲタカジャーナルを避けるためには、以下の点に注意しましょう。

 1. ジャーナルの評判を確認する

  • インパクトファクター (IF): これは、ジャーナルに掲載された論文が他の論文にどれだけ引用されているかを示す指標です。一般的に、IFが高いジャーナルほど、質が高く、影響力があるとされています。ただし、IFは分野によって大きく異なるため、単純に数値だけで比較することはできません。それぞれの分野における平均的なIFを考慮する必要があります。
  • ジャーナルのウェブサイト: ウェブサイトのデザインや内容、掲載されている情報から、ジャーナルの信頼性を判断することができます。信頼できるジャーナルは、ウェブサイトがしっかりとしており、ジャーナルの目的や範囲、編集委員会、査読プロセスなどが明確に記載されています。
  • 編集委員会: 編集委員会のメンバーが、その分野の専門家であるかどうかを確認しましょう。ハゲタカジャーナルの場合、専門外の研究者や、実在しない人物が編集委員として記載されていることがあります。

2. 査読プロセスを確認する

査読とは、投稿された論文を専門家が評価し、掲載の可否を判断するプロセスです。信頼できるジャーナルは、厳格な査読プロセスを設けており、論文の質を保証しています。査読プロセスが不明瞭なジャーナルや、査読を行っていないジャーナルは、ハゲタカジャーナルの可能性があります。ジャーナルのウェブサイトなどで、査読プロセスがどのように行われているかを確認しましょう。

3. 掲載料を確認する

オープンアクセスジャーナルでは、論文を掲載するために掲載料を支払う必要があります。掲載料は、ジャーナルによって大きく異なります。ハゲタカジャーナルは、高額な掲載料を請求することが多いため、掲載料が妥当な金額であるかどうかを確認しましょう。他のジャーナルと比較したり、掲載料に関する情報を収集したりすることが重要です。

まとめ

誰もが情報発信者になれる時代ですが、その一方で、真偽不明な情報やフェイクニュースも氾濫しやすくなっています。
これは、私たちが日々触れる情報にも影響を与えています。

特に健康に関する情報や科学的なニュースを目にした時、その情報源が信頼できるものかどうか、見極める必要があります。
もし、その情報源がハゲタカジャーナルのような信頼性の低い学術雑誌だった場合、誤った情報に振り回されたり、意図せずしてフェイクニュースを拡散してしまう可能性もあります。

論文を読む際には、情報源の信頼性を確認し、ハゲタカジャーナルに掲載された論文に惑わされないようにしましょう。

参考情報

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NOVAST®インストラクター

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