アラキドン酸とは?
アラキドン酸は、リノール酸(オメガ6)から体内で合成される脂肪酸です。
実は、彼も根っからの悪人ではありません。
- 脳の構成成分: 脳の細胞膜を柔らかく保ち、神経伝達を助けます(学習・記憶に必須)。
- 防御反応: 怪我や感染が起きた際、あえて「炎症」を起こして白血球を呼び寄せ、敵と戦わせる司令塔の役割があります。
しかし、現代人は「材料(リノール酸)の摂りすぎ」により、体内のアラキドン酸在庫が爆発寸前です。その結果、ちょっとした刺激で必要以上の大火事(アレルギー、動脈硬化、慢性痛)を引き起こしてしまうのです。
攻略法:鎮火と転生の儀式
ロバストネスな体を維持するためには、彼を「排除」するのではなく「飼いならす」必要があります。
- 燃料を絶つ(兵糧攻め):
まず、アラキドン酸の原料となる「サラダ油」「加工食品」「スナック菓子」を減らします。燃料がなければ火は起きません。 - 消火部隊(オメガ3)の投入:
魚油(EPA/DHA)は、アラキドン酸が暴れるのを物理的に邪魔します(競合阻害)。週に3回は青魚を食べるか、良質なサプリメントで消火班を常駐させましょう。 - 賢者へのクラスチェンジ:
ここが最重要ポイントです。実はアラキドン酸は、適切なタイミングと環境が整えば、炎症を「終わらせる」物質である『リポキシン』(ヒーロー)に変化します。
この「炎症の収束(Resolution)」をスムーズに行わせるには、「適度な運動による血流改善」や「抗酸化物質(野菜・果物)」の支援が必要です。暴れるアラキドン酸を、賢者リポキシンへ導く。これができれば、あなたは炎症を自在に操る「ロバストネス・マスター」です。
ロバストネス図鑑のキャラクター『アラキドン酸』
■ 第1形態:アラキドン酸(着火マン)

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<解説>
かつては「リノール酸」という善良な市民だったが、過密な居住環境(過剰摂取)とストレスにより、怒りの戦士へと変貌した姿。
「痛み」こそが生の喜びであり、「発熱」こそが祭りだと信じている。細胞膜という名の壁の裏に潜み、何かが起きるとすぐに飛び出してマッチ(酵素シクロオキシゲナーゼ)を擦り、ボヤ騒ぎを起こす困ったおじさん。
■ 第2形態:炎症旋風・エイコサノイド(世紀末の火炎)

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<解説>
彼の怒りが頂点に達し、仲間(プロスタグランジンやロイコトリエン)を一斉に呼び出した地獄絵図。
もはや敵(ウイルス)を倒すためなのか、味方(自分の体)を焼くためなのか、本人にも区別がついていない。関節の痛み、血管のダメージ、脳の霧……彼が通った後には、焼け野原と倦怠感だけが残る。
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中村 直樹
理学療法士(国家資格保有)
一般社団法人アジアNOVASTストレッチ協会 代表理事。
15年以上の臨床経験を持ち、有名フィットネス誌『Tarzan』の監修も務める。コンディショニングのスペシャリスト。愛知県一宮市にて実店舗サロン「RIPS!!」を運営し、日々生きた現場の知見を蓄積している。
科学的根拠(エビデンス)とリアリズムを徹底して重視し、安易なサプリメント推奨に頼らない、生活習慣の改善を主軸とした予防医学的アプローチを提唱。「ロバストネス図鑑」では、難解な生化学や、老化・不調の根本原因となるメカニズムを分かりやすく発信している。著書に『美と健康の力〜ロバストネス〜』(Kindle版)がある。