患者さんの「心の痛み」について考えていますか?

こんにちは!本格的に寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。寒かったので、昨日は今シーズン初めて鍋を食べました。皆さんも体を温めてご自愛くださいね。

さて、今回は「心の痛み」について細かく考えていきましょう。私事ですが、毎年「デイケア研究大会」というのがありまして、年に1回運営の事を発表しに行っています。(今年はコロナの影響で延期)一昨年、シンポジウム聞いた内容が「はっ」とさせられたので紹介したいと思います。もうすでに実践している内容かもしれませんが、知らない方は新たな視点で活かして頂けると幸いです。

心の痛みについて「7つの心」

私は、介護保険のデイケア(通いのリハビリ施設)で働いています。立場上、年間50名程の要介護となった方のおうちへ伺いデイケアの契約や自宅環境の調整などを行っています。もうかれこれ7~8年この仕事を続けています。そうすると、400名位の方のおうちへ伺っている事になりますね。ご自宅へ伺うとその方の人生の断片的なものがうっすら見えてきます。「あぁ、旅行にいきがいをもった方なんだなぁ」とか、「仕事で一代でこの立場を築いてきたんだ…」とか。その方の「価値観」や「生活歴」などを見る事が「癖」のようになっています。普通に施設で話している時よりも、不思議と生活の場である「自宅」では素の自分が出せるのでしょうか。色々なお話が聞けるように感じます。

そんなご利用者が何らかの形で障害をおって要介護状態になり、自宅での生活が急激に不安定となります。ご病気になり、入院やリハビリを経て自宅に戻りある程度、動く事は出来ても、元の生活までは程遠い現状です。怪我をおった方なら身体の痛みもあります。そして、それに伴い「心の痛み」をほぼ全ての方が負っているのが事実です。

上記のシンポジウムで、大田先生は退院後の患者様には「7つの心」の痛みがあるとおっしゃっていました。(以下の表)

こうしてみると、健康な時には考えてもみない事ばかりです。患者様に接する治療者やセラピストは、当たり前の事が出来ている事とそれが出来ない苦しみや心の痛みに向き合う必要があると思います。では、こちらの分類においてどのような支援をしていけば良いか具体例がありますので、次で見ていきましょう。

入院時と退院後の支援内容

大田先生は退院後の心の変化において、元気を失っていく理由をkj法で上記のように分類されました。そして、具体的な支援法も以下のように模索してきました。上の表は入院時で下の表は退院後の対策です。

特に「社会的孤立と孤独感」は最も危険な状態で、改善にはピアサポートが有効な手段だと強調しています。ピアとは「仲間」の事で、具体的には同じような疾患を持った方の事です。それをサポートするのがピアサポート、いわゆる、患者会や家族会、その他支援センターなどの従事者です。

確かにピア同士の交流やふれあいが重要というのは腑に落ちます。我々治療者側が「頑張りましょう!」といくら問いかけても何も出来なかった方が、頑張る違う患者様を見て「私もやらなきゃ」となるケースが往々にしてあります。「辛いのは自分だけではない」と他者と自分を比較する事で、第三者的な目線で自分を見る。自分を客観視する事で、現実的な行動がとれると大田先生はおっしゃっています。

「からだとこころ」へバランス良くアプローチ

これまでの内容を鑑みると、「身体へのアプローチに偏っていないか?」と自問自答します。脳卒中者の入院時と退院時の比較で、ADL(日常生活動作の自立度)やFIM(機能的自立の評価)やSIAS(脳卒中の機能障害の評価)で見ると著しく改善していても、うつ傾向やQOLは全く改善せず、その傾向は退院後もしばらく続くという文報告もあります。我々が対面しているのは、心の痛みを負っている患者様です。敏感に心の変化に気づき、理解し、からだとこころへバランス良くアプローチする事が重要だと思います。

終わりに

今回の内容は医療者向けの内容になりましたが、怪我をした事のある方や持病を抱えている方も気持ちはわかるのではないでしょうか。障害の程度が大きくなり、できない事が増えると心の痛みも大きくなります。このクライアントは「やる気がない」「本人の性格」と決めつけずに、まずは心の痛みを評価してみる事をおススメします。

学生の時、大田仁史先生の著書を読んであまり理解できませんでしたが、10年の時を経てシンポジウムを聴いて良く理解できました。「師は弟子に準備ができた時に現れる」とはよくいったものです。たまに過去に読んだものを振り返るのも良いことかもしれませんね。ではまた!

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