こんにちは!種坂です。いかがお過ごしでしょうか。今月も記事投稿しますね。まだまだ不慣れなのでご容赦下さい。
今回は、皆様にも身近な「腰痛」についてお話しします。
腰痛の定義について
クライアント様にも腰痛の方がいるのではないでしょうか。腰痛は国民病ともいわれ有訴率は高く、男性では第1位、女性では肩こりに次いで第2位となっております。腰痛の言葉の定義もありますので、一応紹介しておきますね。腰痛とは「腰部に存在する疼痛の事で、具体的には触知可能な再下端の肋骨と殿溝の間の領域」の事です。つまりこの辺りの痛みを指します。
殿溝ってあんまり聞いた事ないですよね。殿溝とはお尻と太ももの境目の事です。そう考えると、お尻周りの痛みも腰痛に分類されるようです。
腰痛診療ガイドライン
腰痛に関しての最新情報として、知っておくべき診療ガイドラインがあります。2012年に策定されましたが、2019年に改訂しています。
かいつまんで大きな改訂内容をお伝えすると、2012では、「下肢症状を伴わない腰痛の場合、その85%では病理解剖学的な診断を正確に行うことは困難である」と、つまり、原因を正確に特定できない腰痛は85%もある。と言っていました。これは、なんとなく聞いた事がある方もいるのではないでしょうか。2012年のガイドラインでは、欧米の救急医や総合診療医の報告によるものでやや実態を反映していないのではという指摘もありました。
これに対して、2019年の改訂では、「これらの原因を特定できなかった腰痛を、整形外科医がていねいな診察と問診表などを用いた所、最終的には78%が診断可能となり、原因を特定できなかった腰痛は22%となった」と報告しています。※この改訂の内容は2016年の第24回日本腰痛学会での「山口県腰痛スタディ」を参考にしているようです。
すごいですよね…2012年と2019年で真逆の事を言っています。欧米と日本の報告での違いや調査した年代の違いもあり、検査技術も向上していると思いますが、「医療の常識は簡単に変わる」という事を深く考えさせられます。(あくまで上記の山口県腰痛スタディの内容ではありますが)もっと細かく知りたい!という方はこちらをご参照下さい。※2012年のものはライブラリで確認ができます。
見逃してはいけないレッドフラッグ!
さて、次はその腰痛でも絶対に見逃してはいけない「レッドフラッグ」について紹介していきます。
まず、「レッドフラッグ」について耳にした事はありますか?名前からしていかにも危険そうですよね…
そうなんです。もう名称の通りでレッド、つまり赤信号です。施術云々の前に医療機関でしっかり診察・治療してもらいましょう。という事です。
詳しく説明すると、「原因が特定されている腰痛の中でも、重篤な疾患が隠れているかもしれない腰痛の危険な徴候」の事を「レッドフラッグ」と言います。
先ほどのガイドラインでレッドフラッグは以下のように規定されています。
・転移性脊椎腫瘍
・脊髄馬尾腫瘍
・化膿性脊椎炎
・椎体骨折
・解離性大動脈瘤
・強直性脊椎炎
・閉塞性動脈硬化症
・馬尾症候群
ちなみにレッドフラッグは腰痛全体の1~5%と言われています。数は多くないですが、
クライアント様の中でレッドフラッグに当てはまり、「なかなか良くならない」という方は要注意です。いずれも早期に診察・治療を開始しないと重篤な状態に陥る事もあります。
なので、発見したらなるべく早く医療機関に受診する事をおすすめします。
おわり
今回は腰痛についての知見とレッドフラッグについての記事でした。原因がわかる事が必ず腰痛を治せるという訳ではありませんが、レッドフラッグに関しては注意して対応する必要があると思います。知らないうちにクライアント様の不利益にならないよう、日々情報を得る事が重要ですね。ではまた!
出典:腰痛診療ガイドライン2012,2019