維持期理学療法士として

こんにちは。

今回は、10年とちょっと理学療法士として維持期の病院で勤めて思うことを書いていきたいと思います。

維持期の特徴

身体機能の改善は余り見込めない

維持期患者さんは発症・発病・受傷してから長く日にちが経っていることがほとんどで、回復曲線はほぼプラトー。また年齢も70~90辺りの高齢者が大半を占める。そのため認知機能面の低下がみられる方が多く、それも含め食が細い方も多い。それらの理由からなかなか身体機能の改善は難しい。

入院期間が長くなりがち

・維持期では上記のように身体機能の大きな改善が見られづらいため、それに伴う大きな身体能力の改善は見られづらい。そのためキーパーソンが求めるADLに到達することが難しいことが多く、自宅に退院することがなかなかできない。

・身体状況から、常に医療行為が必要でありそれらの環境が整っている場所にしか退院できない。

・金銭的な問題で施設入所ができない。

それらのような理由から入院期間が長くなりがちである。

若手の時に感じた焦り

まだたかだか10年過ぎた程度だが、後輩なども悩んでいることが多いこととして…

・療法士として、評価→治療→効果判定→修正→治療…それによる患者さんの治療→機能改善→能力改善…正しいのだろうが、維持期においてこの機能改善はほとんどみられない。

・特徴で述べたように、入院期間が長くなりがちであるため新規患者さんをみるペースは遅い。同じ方と長くかかわっていくと、加齢なども理由とした機能低下からの能力低下を経験する機会がとても多い。

・周囲の人(親戚など)から「リハビリの先生」という認識から急性期的な悩みに対する治療を求められる。(膝を痛めたから見てほしい。など)

それらから自分の「治療」に対して自信が持てなくなっていく。同じ学校の同期などと勝手に比べて焦りを感じてしまう。目に見えやすい「機能」の改善がみられず、療法士として不安になり、手技ばかりを求めてしまう。

維持期の理学療法士として

維持期理学療法士としての仕事はこんな感じだと考える。

評価

維持期では、入院後短期間で前院からの情報より身体能力の向上が見られることが多い。これは身体機能の評価を詰め、補助具を選定し、現時点で出せる身体能力のピーク値を出すためである。

機能改善に依存しない能力改善

維持期では身体機能の改善はほとんど見られない。そのため、現身体機能でのより適切な動作方法の獲得や補助具の選定、身の回りの環境の設定による能力改善(ADL向上)を図っていく。

退院後の環境設定

退院後の使用サービスの提案、使用補助具の提案、環境設定の提案、介助方法の提案・指導。

維持期理学療法士の新人さんへ

回復曲線がプラトーゆえに

発症から長くたっている維持期では自己治癒力による回復曲線がプラトーなためそれによる「機能」や「能力」の改善はほとんど見られない。つまり、そこからの能力改善は紛れもなく僕らのかかわった成果だと思う。

急性期、回復期、維持期療法士は全く別物

何度も書いたように急性期、回復期、維持期では同じ「QOLの向上」を目的としたとしても患者さんの状態(回復曲線ももちろんだが身体状況も)が全然違う。だからアプローチの方法も違って当然。「治療」によって「機能」改善が見られづらいのも急性期・回復期療法士がアプローチしつくしてくれたあとなのだから当然。維持期では「機能改善」主体から「補助具選定、動作指導、環境設定(介助者指導)」主体にアプローチ方法がシフトしていき、機能改善に依存しない能力向上を目指していく。

最後に

「治療」より「動作練習」「補助具選定」「環境設定」。同じ理学療法士でも専門性は大きく違う。維持期療法士には維持期療法士なりの秀でた部分がある。なので自分の専門性を見つめなおして、自信を無くすことなく胸を張ってその専門性を発揮してほしいな~と思う。「手技」に走っても適応する患者さんはほとんどいないので空振りする。NOVASTのストレッチも例外ではないが、NOVASTで得たことは別記事自己紹介と入会のきっかけに書いたので見て頂けたらと。

 

以上です。

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